周りの船が徐々に旅立ち、残り少なくなった4月最後の日、サンフランシスコに向け出航する。
ディンギーとイーパブを貸してくれたデイビットが肺がんであっという間に亡くなり葬儀に出ようと、ハワイに行く予定を変更した。
彼はニューヨークからパナマをぬけハワイ経由でバークレイに来た。ハワイからは私の少し後を走っていたのだ。かれには安海より少し後に生まれた娘がいる。
安定した北よりの風の中、沖に向かいぎりぎりに上らせる。カボサンルーカスの沖でメインセールが破ける。朝まで気が付かなかったためダメージが大きい。
バークレイマリーナで拾ったセールを2ポイントで上げる。なかなかいい具合だと思っていると2時間でばっさりと破けた。
気を取り直してトライスルを上げ、NO3からNO2のジブに換える。なんとか行けそうだ。
一面鰹の烏帽子の海に入ってしまった。コックピットに上がったのを良く見ると触手がない。恐る恐る海に戻す。毒はないようだ、助かった。
夜中にボンという音と振動で眼をさます。フォアステーがぶらぶらしている。ジブ降ろすとマストがぐらぐらしている。ハリヤードを張りマストを固め、夜明けを待つ。
ステーは無事でターンバックルが飛んでいた、予備に代える。
風が振れずうまく上れない。陸に向けタックして着いた所に入港する事にする。
マリーナデルレイは帆走の船は水路の真ん中を行き、機走のは右端を行かなければならない。感動した。
1週間滞在してセールを縫い4度目のゴールデンゲートをくぐった時はデイビットの葬儀は終わっていた。 |