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第3章 1997年7月、石垣ー清水

船の整備が終わって海に降ろしたとたんに台風がやってきた。

18mmの100mのロープがまた活躍だ。最大瞬間風速65m食らった時の事を思い出す。
それにしてもあの時は凄かった。45度は傾いた船体にこれでもかと北東の突風が襲いかかる。18mmのロープ一本にすべての力がかかり、気圧はなお下がる。すると風が止む。完全に止んだ。台風の目に入った様だ。そよそよと南西から吹き始めた風が牙を剥くのにさほどの時間は必要なかった。船はまるでブローチングだ。しかし気圧は底を尽いた様だ。長びかずに良かった。いい経験をしたもんだと思う反面二度とこんな思いはしたくないと思う。この台風で42フィートのカタマランが宙を舞った。

その台風が今年も近づいている。この台風が去ったら私もここを去ろう。ラジオの台風情報を聴きながら眠れない夜を過ごす。台風のほとんどは逸れる、がもろに来たら身の毛が立つ。翌朝はお決まりのぬけるような青空だった。涼しい夏を過ごしたい私は東北地方で越夏しようと考えた私は岡村の所に海図があれば借りようとそこに向かう事にする。

約1000マイル、黒潮、南風を考えれば7、8日で行けるはずだ。泡盛り、オリオンビールを積んだ船は台風が押し上げた梅雨前線の南側の晴天域を快調に走る。快晴の月のない夜の天の川はマストにあたりそうだ。宮古島、久米島、伊是名島、奄美大島、種子島と続き6日目の夜に御前崎の灯台を見つけ、進路を富士山に向ける。このまま黒潮に乗りアメリカまで行く夢を見る、が今は無理だ。駿河湾に入るとにわかに雲が広がり梅雨前線に突っ込んだ。これまでの快晴と南風は運がよかった。東海地方の梅雨は南西諸島の梅雨とは違い本当の梅雨だった。

久しぶりに来た清水港は水の汚さが目、鼻についた。清水港は面積、水揚げ、ともに大きいが小さな船を着けるのに苦労する。

そんなとき友人の弟がロス・アンゼルスでレストランを経営していることを知った。無事にそっちに着いたら働けるかどうか尋ねると「私の所でよかったらいつでもどうぞ」。

   
フリームーン
フリームーン

石垣のハーリー
 
 
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